特定非営利活動法人日本ウミガメ協議会付属

 研究所ニュース.2016年

黒島研究所のお知らせ、所内のイベントの告知や黒島の行事を掲載します

ウミガメ漁に同行しました

2016.12.30


12/25、ウミガメ漁の同行しました。黒島研究所では、現在【うみがめ勉強会】を開催中です。この勉強会で標識放流するウミガメは、【かーみーかけ】と呼ばれる漁法によって地元の漁師が捕獲しています。今回の漁では、甲らの長さ104㎝、体重180kgの大きなアオウミガメも捕獲されました。かーみーかけは沖縄に伝わる伝統漁法ですが、現在では数名しか行うことができません。まさに絶滅に瀕した漁法です。当研究所では、漁師に調査用のカメを捕獲してもらうことで、この漁法を存続させる活動もしています。

竹富島でウミガメの放流

2016. 12. 26

先月、竹富港内で多数のタイマイの子ガメが漂着しました。どうやら、近くの砂浜でふ化したものの、強い寒気と強風によって港の中で迷い込んだようです。その後、島の方に保護され、離島を結ぶ船会社のご厚意によって、当研究所に搬入されました。加温しながら様子を見たところ無事に回復したため、今月19日、天候の良い日をみて放流しました。放流の際には、竹富町の公民館長や園児が見送りました。

海のマリモ?すくすく成長中!

2016. 12. 1

研究所のサメラグーンやふれあいなまこラグーンには海ぶどうが繁殖しています。そのうちサメラグーン内の海ぶどうの一部が球体を形成し、マリモ化しています。マリモと言えば阿寒湖が有名です。本来は横に広がる藻が、水の流れや波浪など様々な要素で球体になったとされています。こちらの海ぶどうマリモ形成要因はサメのアタックを受け、コロコロと転がっているウチに球体になったとようです。奇跡の惑星・地球、奇跡のマリモ・海ぶどう。研究所にお立ち寄りの際は海ぶどうマリモにもご注目ください。

黄金のおじさんが寄贈

2016. 11. 22

 島民のおじさんから、黄金のオジサンが寄贈されました。この魚はマルクチヒメジという種類で、全身が黄色の個体が見つかることがあります。ヒメジの仲間は、ひげを持っているため、通称でおじさんと呼ばれています。

スーパームーン

2016. 11.14


普段よりも月が大きくなるスーパームーンです。快晴の黒島では、18時半でも太陽が出ているような明るさになっています。

海に反射する月の明かり。左の灯りは石垣島。

今夜は月で影ができる明るさです。

JTBの研修を受入れ

2016.11.1

JTBの中部・東海の皆さまが研修で黒島を訪れました。この日は北風が強く、波が高い中、西表島や新城島をこなしての黒島上陸でお疲れの様子でした。ウミガメに触れて喜び、イカが触腕を使って餌を捕らえる様子に驚き、オニダルマオコゼが一瞬で餌を吸い込む姿に感動し、フグが貝殻をガリガリ砕く音に耳を澄ますなど五感をフルに使って、さらに疲れたと思います。まだ研修は続くようですが、実り多い研修になることを願っています。

結願祭

2016.10.16


 10月9日、東筋集落の結願祭(きつがんさい)が黒島伝統芸能館で開催されました。通常は比江地御嶽で催されますが、諸事情により今年は芸能館での開催となりました。かつては各集落で盛大に催されていた結願祭、神役の高齢化や継承者不在で奉納舞踊まで含めて盛大に実施する集落は東筋だけとなりました。例年、東筋の結願祭は各御嶽から神役が出席します。今年は神役が一人だけの参加となりました。東筋の結願祭も近い将来途絶えてしまうかも知れません。そんな心配を忘れさせてくれそうな見ごたえのある奉納舞踊、黒島の伝統芸能の継承に大きく貢献していることは間違いありません。

サンゴの大規模な白化

2016.10.1

沖縄県では各地でサンゴの白化が報道されていますが、黒島でも大規模な白化が確認されています。サンゴの白化は、サンゴの中にいる植物プランクトンが出ていくために発生します。こうなるとサンゴは栄養が不足してやがて死んでしまいます。大規模な白化は、夏場の高水温が続くと確認され、過去には1998年・2007年に発生しています。今年はこれらに次ぐ大規模なものになりそうです。サンゴの住む浅い場所の水温は、台風が接近して低層の冷たい水とかき混ざることで、低下します。このため白化は台風の少ない年に見られます。今年は7・8月にまったく台風が来なかったため、大規模な白化に繋がりました。9月は台風が接近していますが、時すでに遅く、水深3mまでのサンゴはほとんど死んでいます。

旧盆行事で研修生が活躍

2016.8.19

 今年は新暦と旧暦の盆が重なりました。黒島では旧盆恒例のアンガマーが8月15・16日の二晩、旧盆明けの18日の夜にあの世に戻ることのできなかった霊が村に災いをもたらさないように鎮めるとされる獅子舞が実施されました。アンガマーでは青年会の要請を受け、東京海洋大・名城大学の合わせて4名が参加し、島の青年と共に精霊となって仏壇のある家をまわり、祖先の霊を喜ばせました。獅子舞は7回舞ったのですが、写真の獅子には東京海洋大学の研修生が島の青年とペアを組んで入っています。写真は東海大学の学生が撮影しました。島の伝統行事の存続に微力ながら貢献できていれば光栄です。また未来ある研修生の今後の人生 において、意義のある経験となれば幸いです。

韓国の団体The World Changers が来所

2016.8.6

西の浜で砂浜の環境について学ぶ
3Dプリンタ用の形をとる打合せ
後ろ足の形取り

 韓国のNGO団体The World Changersの皆さんが来所されました。この団体は高校生と大学生が中心となって世界中で様々なプロジェクトを実施しています。黒島では、ウミガメの調査や生息環境を勉強し、ウミガメ剥製から足の形取りを実施しました。将来的には、この剥製からとったデータを元に、3Dプリンターでウミガメの義足を作るそうです。自然でも手足の欠けたウミガメは多く生息します。このためウミガメ用の義足は作られていますが、コストや装着の難しさもあり、なかなか普及しません。学生たちの柔軟な発想で、この問題が解決できる時が来るかもしれません。

香港のYMCAが来所されました

2016.7.13

 11日、香港から香港YMCAの活動として、18名の学生が黒島を訪れました。環境問題に大きな関心を持った学生たちで、研究員の話を熱心に聞き、質問をしていました。夜は西の浜でウミガメの産卵を期待したのですが、残念ながら…。将来、世界中で活躍して頂けることを願っています。

子ガメの脱出シーズン

2016.6.27

砂の中から出てきたアカウミガメの子ガメ夜の黒島西の浜。星のあかりしかない

 八重山諸島では子ガメの脱出シーズンがはじまりました。子ガメは、卵が産み落とされてからおよそ2か月後にふ化し、砂浜から海へと向かいます。子ガメは光に向かう習性があり、砂浜の近くに街灯や自動販売機があると、その灯りに誘引されて海へ行けません。そのため、小笠原や沖縄島の一部の産卵地では、路上にでた子ガメが車につぶされる悲しい事故もあります。人工の光がない、星の良くみえる砂浜が、子ガメたちにとっては最適です。

オカガニの産卵

2016.6.19

黒島ではオカガニの産卵がピークを迎えています。夜になると、各砂浜に、お腹に卵をかかえた母ガニが波打ち際に集まっています。そして、母ガニが海水に浸かって体をゆすると、卵が割れて幼生が海へ放たれます。このオカガニの産卵は、初夏から夏場に行われ、月夜に多く見られます。昔は、海岸を埋め尽くすほど、たくさんのカニがいたようですが、黒島の陸地に森が少なくなったため、今では昔ほどの大集団はいません。それでも、わずかな海岸林に生き残ったカニ達が次の世代を残すために頑張っています。

県立博物館で黒島の講演

2016.6.1

沖縄県立博物館で、篠原徹(元国立民族博物館 副館長)による黒島の講演があります。篠原氏は、1990年代に黒島に通いつめ黒島民俗誌を作成した人として知られています。日時:6月18日(土)14-16時、場所:沖縄県立博物館・美術館 3F。

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サンゴの産卵

2016.5.19


昨夜、サンゴの一斉産卵がありました。サンゴの卵は赤く、浮くために、一斉産卵の後は海面が赤潮のようになります。写真は黒島港です。他にも喜屋武などで水面が赤くなっているところが確認されました。

マルソデカラッパを展示中

2016.5.10


黒島の海人からマルソデカラッパを頂きました。持ってきた時は、ビニール袋に入っていて、まるでお饅頭のようでした。水槽に移すと元気に動き出しました。このカラッパはハサミが缶切りのようになっていて、貝の殻を割って食べる習性があります。現在、生物飼育室で展示中です。

アカウミガメの初産卵

2016.4.27


今年 はじめての産卵がありました。足跡と卵の大きさからアカウミガメのようです。これからウミガメ産卵シーズンは本番になります。

ウミガメの初上陸

2016.4.9


4月7日、黒島で今年初めてのウミガメの上陸がありました。足跡からアカウミガメと思われます。残念ながら卵を確認することはできませんでした。

海星小学校の皆さんが遠足で来所

2016.3.21


3月20日石垣島にある海星小学校の皆さんが遠足に訪れました。研究所では、ウミガメの勉強をしたあとに、実際にウミガメとふれあいました。さらに、研究所で飼育している海ぶどう狩りを楽しみました。

フクロクジュクラゲが発見されました

2016.3.6


黒島でフクロクジュクラゲが発見されました。このクラゲは近年 新種として報告されたばかりで、ほとんど記録がありません。今回は、新江ノ島水族館のグループが発見しました。→http://enosui.com/diary.php

箕面自由が丘学園の皆さんが修学旅行で来所

2016.3.5

放牧地で記念撮影イカの給餌体験東京大学研究員によるナマコの実験生徒によるオタ芸3月2・3日に大阪の箕面自由学園中学校の2年生が修学旅行で黒島を訪れました。天候にも恵まれた2日間でした。牧場で子牛にミルクを飲ませたり、今年も生まれたばかりの子牛にクラスごとに名前を付けさせてもらいました。夜は黒島に関連する話題でディベートを実施、地元の人からも意見をもらったりしました。当研究所では調査や研究で訪れていた学生や研究者と一緒に、様々な実験や観察をしました。特にイカやオニダルマオコゼなどが餌を捕らえる様子にはみなさん驚きの歓声を上げていました。修学旅行を通して、黒島でしかできないことをたくさん経験した生徒さんの健やかな成長を心より願っております。

廃油にまみれた子ガメの死骸

2016.1.28


現在、八重山の多くの島々で、廃油ボールの漂着が相次いで確認されています。そんな最中に、西表島で廃油にまみれた子ガメの死骸がみつかりました。廃油によって死んだのか、死んだウミガメに廃油がついたのか、解剖して調べなければわかりませんが、なんとも可哀そうな状態でした。写真上は発見された状態、下は廃油除去後です。情報を提供して頂いた西表島 杉谷さん、ウミガメの救助に向かった西表島野生生物保護センターの日名さんに感謝致します。

寒波で魚が打ち上がりました

2016.1.25

打ち上がったミナミハコフグ油のかたまり
記録的な寒波が続いていますが、黒島では寒さで弱った魚が海岸に打ち上がっています。魚は変温動物ですから、寒くなれば体が動かなくなり、波風に流されて海岸に流れつくわけです。特にサンゴ礁に生息する魚は低水温に弱い種類が多くいます。黒島では「魚が浮く」と言って昔から知られており、民話でも登場します。残念なことに、魚だけでなく、たくさんのコールタールのような油のかたまりも無数に打ち上がっていました。このような汚染が語り継がれないようにしたいものです。

星空講演の開催

2016.1.14


14日、黒島ビジターセンターで宮地紙による講演が行われました。本来は、満天の星空を使って解説をする予定でしたが、残念ながら曇り空だったため、スクリーンに星空を映しながらの講演となりました。今夜15日も開催します。

星空観察会のお知らせ

2016.1.10


1月14日と15日の午後8時から星空観察会が黒島ビジターセンターで開催されます。講師は石垣島天文台の宮地竹史所長です。黒島は大きな施設もなく、夜は真っ暗です。その分、肉眼で見える星の数は牛の頭数ですら到底及びません。平坦な島ならではの大きな夜空、サンゴが隆起してできた川のない黒島に夜だけ出現する大河。共に満点の星空を見上げましょう。予約は不要で参加費は無料です。宿で夕食をとったらビジターセンターへお散歩がてらお立ち寄りください。黒島には割と宿は多く、まだまだ空きがあるそうです。(写真:黒島からみた天の川)

オヒルギに種が…。やっタネ!

2016.1.4

これは屋外の「ふれあいなまこラグーン」の上流に植えていたもので、黒島の北側に漂着していた種を植えたものです。マングローブの川でも上流で見られます。おそらく西表島か石垣島から流れてきたものだと思われます。黒島にはマングローブの種が漂着し、たまに港や伊古桟橋の浅瀬で根を張って葉をつけたりすることもあります。しかし、台風等で無くなり黒島では定着していません。オヒルギの種は特殊で果実内で成長しているので胎生種子(たいせいしゅし)と呼ばれており、写真の種もまだ短いので、すくすくと成長を続けているものだと考えられます。黒島産のオヒルギの種は今までなかったはずで珍しいもの かも知れません。

2016年の入館者など

2016.1.1

新年 明けましておめでとうございます。昨年度は9988名の入館者がありました。ハブに咬まれた人はいませんでした。当研究所は、これからも黒島の自然や文化を紹介する窓口として、そして、ウミガメが安心して産卵できる美しい砂浜を残すために努力していきます。本年もどうか宜しくお願い致します。